研究プロジェクト

水の起源と惑星進化における役割の解析

研究プロジェクト・リーダー

巽 好幸 教授

研究の概要

地球は、太陽系惑星唯一の「水惑星」であり、表面の低地には液体の水が存在する。一方で地球は、太陽系惑星唯一の「陸惑星」でもある。表層を造る2 種類の組成・密度の異なるクラストのうち、密度の低い部分が浮き上がって高地(大陸)をなしている。

他の地球型惑星はこれに対して、スムースな表面地形を有している。なぜ太陽系惑星の中で地球だけが「水惑星」かつ「陸惑星」であるのかは、地球のみならず太陽系惑星の進化を理解する上で最も重要な問題の1つである。

本研究は、「水惑星」と「陸惑星」形成の因果関係を明らかにすること、および地球の水の起源を明らかにすることを目標とする。前者に関する作業仮説は以下のようなものである:38 億年前に海が誕生したことで、表層岩石の破壊強度が低下し、破壊域への応力集中による断層の発達によって高密度プレートの沈み込みが開始する(プレートテクトニクスの作動)。沈み込み帯では、プレートから放出される水がマントル物質の融解を促進し、冷却固結した安山岩質マグマが低密度のクラストを造り大陸が成長する。一方海嶺では、水の供給が乏しく高密度の玄武岩質クラストが誕生し低地を形成する。この作業仮説を実証するために、固体地球内部の水分布についての観測・実験結果を束縛条件としてマグマの生成過程を検討し、さらにプレートの形成とプレートテクトニクスの作動に関する数値シミュレーションを用いて再現する。

地球の水の起源を解明するためには、原始惑星系円盤中での氷の生成過程を含む化学進化、氷小惑星や彗星といった小天体の形成・破壊と太陽系内での移動、地球集積過程といった複数の素過程の解明を総合するアプローチが不可欠である。本重点研究では、原始惑星円盤中での化学進化、隕石物質における水の特性の物質科学的解析、太陽系形成時の小天体の分布・輸送と地球集積過程の理論的解析、水と惑星の集積過程に関する実験的解析を行う。また、太陽系内の水分布を知る上で重要なデータを提供することが期待される小惑星探査計画「はやぶさ2」が平成26年12月3日に打ち上げられ、本研究プロジェクトとしてもこの計画の進展を図る。

惑星学専攻は、地球の中心から太陽系の果てまでの多様な現象を包括的に取り扱う国内でも特徴的な組織である。本研究を契機にこの特徴をさらに発展させ、国内外の研究者との連携によって、惑星、その中でも特異な地球の起源と進化に関する国際的な研究拠点を形成したいと考える。

構成員

氏名 職名 所属・専攻
研究プロジェクト・リーダー 巽 好幸 教授 海洋底探査センター、
理学研究科・惑星学専攻
研究分担者 島 伸和 教授 理学研究科・惑星学専攻
荒川 政彦 教授 理学研究科・惑星学専攻
吉岡 祥一 教授 都市安全研究センター
陰山 聡 教授 システム情報学研究科・計算科学専攻
中村 昭子 准教授 理学研究科・惑星学専攻
保井 みなみ 助教 理学研究科・惑星学専攻
清杉 孝司 助教 先端融合研究環
瀬戸 雄介 講師 理学研究科・惑星学専攻
研究参画者 寺門 靖高 教授 人間発達環境学研究科・人間環境学専攻
末廣 潔 上席研究員 海洋研究開発機構
廣瀬 敬 教授 東京工業大学
小平 秀一 上席研究員 海洋研究開発機構
LEWINGTON Evans Robert 上席研究員 ウッズホール海洋研究所
MICHEL Patrick 上席研究員 コートダジュール天文台
BARATOUX David 准教授 ツールーズ第3大学

研究の概念図

水の起源と惑星進化における役割の解析